おがた林太郎個人ブログ“王候将相いずくんぞ種あらんや”
海賊
ソマリア、イエメン沖での海賊が国際的に注目を浴びるようになってから、かなりの月日が経ちます。どうも、「海賊」というとピンと来ない方が多いようでして、「パイレーツ・オブ・カリビアン」を連想するようですが全然違います。重火器を持っていて、大型タンカーですら止まらなくてはならない存在です。
日本でも海賊対処法が出来て、外国船舶の護衛も出来るようになっています。国際社会全体で、このソマリア、イエメンの沖における海賊対策が進んでいます。
ということで、先日、とある方から資料 を貰いました。これを見ていただければ分かりますが、海賊の件数は減っていません。むしろ、増えているのですね。2009年は前年比2倍です。
特にバブ・エル・マンデブ海峡周辺の多さは異常なくらいです。スエズに繋がる交通の要所だということで、相当に狙われている感じがします。アデン湾周辺ではイエメン中央政府があまり機能していないことがあるのでしょう。対岸のプントランド(ソマリア北部地域)も安定しておらず、海賊の良い隠れ処になっているようです。勿論、ソマリア南部は完全に無法地帯です。
さて、ここで一番重要なポイントは「国際社会は何処まで関与するか」ということです。どう見ても、これはイタチごっこです。これだけ国際的な注目を浴びて、各国の対応が強化されている中においても、前年比倍増ということは、この問題の奥深さを物語っています。海域があまりに広すぎて、すべての海域をコントロールし尽くすことは現実的に不可能です。かといって、この地域を避けた海運というのはとても想定できません。
以前もほぼ同じことを書いたのですが、3つの可能性があります。(1)航行する船舶の安全を確保する、(2)海賊を叩き潰す、(3)イエメン、ソマリア内政全体の安定を図る、この3つの選択肢があり得るでしょう。更に厄介なのが、イエメン、ソマリア内政を脅かすイスラム主義者と海賊というのは、多分直接の関係がないということです。海賊は単に生活の糧として、海賊をやっているわけでして、中央政府の動向とはほぼ完全に切り離されています。そういう意味で、(3)が実現できることが最終的な解決策として望ましいのだけれども、(2)と(3)との間にはかなりの距離があるというのが現実でしょう。
多分、(3)にまでコミットする国はないでしょう。(2)ですら、現時点ではいないと思います。全く先が見えてきませんね。